「百年に一度の好機。さあ、我社もインターネットビジネスに乗り出すぞ!」
「インターネットビジネスはアイデア勝負。少ない資本で始められる。今日から私もベンチャーだ!」
意気軒昂。まずは著名なホームページを閲覧し、アメリカの先進事例を研究し、一般的なインターネットの仕組みを勉強し、IT(情報技術)用語やマーケティング用語を覚え...。
ところがそこで立ち往生。
「じゃあいったい何から手をつけたらいいの?」
「いつ何をやればいいの?」
途方にくれていると、
「ほとんどのインターネットビジネスは大赤字。いつ黒字転換できるか分からない。」
「アメリカではドットコム企業(インターネット関連会社の総称)がバタバタと倒産している。」
というニュース。それまでさんざん煽っていた評論家は手のひらを返したように
「インターネットは所詮バブル。そもそも誰もがインターネットビジネスに手を出すことこそ異常。しっかりしたビジネスプランの策定が必要で、それができなければ着手すべきではない。」
というありがたいご神託。
意気消沈、転じてこれ幸い。
「(立ち往生を言い換えて)模様眺めしていて良かった。無理に進めてたら、あやうく大火傷するところだった。」
と言って、インターネットビジネスから距離を置く...。
現在のインターネットビジネスに対する多くの経営者や起業家のスタンスは、ざっとこのようなところでしょうか。
確かに、ひところ話題を呼んだ一部ドットコム企業群のバブルぶり、そしてその反動とも言える現在の苦境は周知の事実です。狭義のインターネットビジネスが収益構造の面で未成熟なのも否めません。
しかし、狭義のインターネットビジネスの問題点を挙げ連ねて将来を悲観するのは、それこそ木を見て森をなんとやら。インターネットそのものは、今もどんどん膨張し続けているのです。
日本だけを見ても、インターネット世帯普及率は臨界点(普及が加速する点)の15%をまもなく超えると言われています。政府も遅ればせながら「IT基本戦略」を策定し、その推進に本腰を入れてきます。目標が決まるまではやたら時間がかかるけど、決まってしまえばがむしゃらに突き進む私達日本人。政府目標の5年よりも早く、ほとんどの世帯にインターネットが普及することでしょう。
ほんの数年の内に、今のインターネットの数倍規模の大きな波が押し寄せることは間違いありません。一時的な、しかも狭い範囲の現象に目を奪われて、無視したり距離を置いていては、いずれその波に飲み込まれてしまうのが関の山です。それよりも、その波に乗れるよう今から体制を整えて準備しておくほうが賢明ではないでしょうか?
インターネットに関わるビジネス全てを広義のインターネットビジネスとするならば、今はまだ夜明け前。インターネットビジネスはまさにこれからが本番、マーケットは無限に広がるのです。
未知のビジネスですから、「完璧なビジネスプラン」は残念ながら存在しません。安定した「レール」は望むべくもありません。試行錯誤もつきものです。しかし、だからといって何もせず傍観しているだけでは、現状維持の先細りです。なにごとも、実際に手を動かしてこそ身につくのですから。
もし今インターネットビジネスを展開していこうと思い立ったのなら、躊躇せずに始めようではありませんか!また、もし既に着手しているのであれば、問題を1つずつ解決しながら前に進んで行こうではありませんか!
本書は、これからインターネットビジネスに乗り出そうとしている経営者や起業家、そしてその実務の責任者であるプロジェクトマネージャーやWebプロデューサーに向けて、同じ立場でWebサイト「お買物情報のクチコミ広場?買物じょうず?」を立ち上げ、運営している筆者が、そこで得た経験やノウハウをまとめたものです。
インターネットビジネスの世界では、よく「走りながら考えろ」と言われていますが、本書は「走りながら執筆した」ことになります。
インターネットビジネスは、ホームページ(正しくはWebサイト、ホームページとはWebサイトの最初のページを指します)を立ち上げて運営すること自体が目的ではなく、それによってより多くのお客様に自社の商品やサービスを提供し、その結果として利益を伸ばしていくのが本来の目的のはずです。本書によって、読者のインターネットビジネスが一日でも早く暗中模索から脱し、本来の目的を達せられれば幸いです。
≪一部割愛しております≫