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メールマガジン 中堅・中小企業経営者のためのIT活用Q&A
2002/01/15(第3火曜日発行) 708 部
第19回 パッケージソフトと特注ソフト、どちらを選ぶ?
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□ ご挨拶
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みなさま、こんにちは。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
初めてのみなさま、数あるメールマガジンの中から選んでくださり、ありがと
うございます。
本メールマガジンは、バックナンバー(http://surv.tripod.co.jp/)も公開
しております。第1回からお読みになられると、より一層楽しめると思います
ので、ぜひご覧ください。
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□ パッケージソフトと特注ソフト、どちらを選ぶ?
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現在、社内の業務改革案を策定中。
それに伴い、これまで十数年間使ってきた社内の情報システムの見直しも行っ
ているが、変更点があまりにも多いことや、現行システムがオフコンベースと
いうこともあり、これを機に一新したいと考えている。
そこで、複数のコンサルタント会社やシステム会社に相談したところ、
(a)パッケージソフトを導入し、社内の業務をそれに合わせる
(b)パッケージソフトを導入し、不足している機能だけ特注ソフトで追加開発
する
(c)一部汎用的な機能を除き、特注でソフト開発する
という、3つのタイプの提案があった。
どのタイプを選べば良い?
□
■ ケースバイケース
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こういった質問に対して、
新聞や雑誌では、
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パッケージソフトに較べて特注ソフト(受託開発型ソフト)は、コストが数倍
から数十倍かかるので、パッケージソフトをお薦めします。
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と書かれていますし、
逆に大企業の情報システム担当者に聞くと、
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パッケージソフトは自社の業務に合わないので、その手直しを考えると最終的
には特注ソフトのほうがコストが抑えられる
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と言われることが多いようです。
そして弊社の答えは、
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ケースバイケースです。
現在の仕事の流れと現行システム、そして将来の仕事の流れと(もしあれば)
それに必要な情報システムの要件を教えてください。
提案のあったパッケージソフトの機能も詳しく調べましょう。
それらを考慮して、3つのタイプのどれが適しているか判断しましょう。
もしまだ情報システム要件がはっきり固まっていないのであれば、まずそこか
ら始めましょう。
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となります。
えっ?もう少し具体的に?
それでは、判断基準をいくつか挙げてみます。
□
■ そのパッケージソフトは「あるべき姿」に適合しているか?
□
まずは教科書的な判断基準から。
企業の大小にかかわらず、歴史の長い会社ほど「しがらみ」が多いものです。
仕事を進める上で培ってきた「その会社独自のやり方」も、相当あります。
しかもそれらは、必ずしも今後の会社にとって良いことばかりではありません。
業務改革案策定中とのことですので、そういったことをとりあえず一旦リセッ
トし、何らかの「あるべき姿」を想定しているものと思われます。
検討中のパッケージソフトが、もしその「あるべき姿」に適合しているなら、
つまり、目的としている(業務改革後の)新しい仕事の流れをそのパッケージ
ソフトを使うことによって実現できるのなら、まず第一に(a)を選ぶべきでし
ょう。
そして、パッケージソフトだけでは「自社の優位性を損なってしまう」という
部分がもしあれば、そこだけ追加で特注開発、つまり(b)となるのです。
実際、小規模企業の場合、ほとんどは(a)が最適解でしょう。
どうしても必要な部分は、現場の担当者がやり方を工夫したり、表計算ソフト
等を駆使して対応しているようです。
□
■ そのパッケージソフトと現行システムの乖離具合は?
□
「あるべき姿」を実現できるソフトがあり、それを導入するのが理想とはわか
っていても、人間が絡んでいる以上、話はそう単純でもありません。
最も懸念されるのが、現行システムとの乖離具合です。
両システムがどんなに異なっていたとしても、時間とお金をかけさえすれば、
現行システムから新システムへ既存データを移し替えることは可能です。
通常、数ヶ月は新旧システムを並行して動かしますので、何らかの問題が発生
しても対応は可能です。
ところが、それを操作する人間の方は、乖離具合に比例して混乱をきたします。
・いままでの仕事のやり方を大幅に変え
・新システムの操作方法を覚え
・並行稼動時は、新旧両方のシステムを操作し
・わからないところはその都度問合せ
・万が一新旧の出力結果に齟齬があれば報告する
といった負担が、同時期にのしかかって来るのですから、無理もありません。
もちろん「だからこそ十分な研修時間を取っている」という声もあるかと思い
ますが、もし可能なら、1年弱で無駄になるのはわかっていても、
『緩衝材的』なソフトをあえて別途特注開発することを、つまり(b)をお薦め
します。
□
■ そのパッケージソフトで「あるべき姿」に必要な機能は動いているのか?
□
そして最後に、そもそもそのパッケージソフトは「あるべき姿」に必要な機能
があるのか?
その機能は、そのパッケージソフトを使っている他の会社で動いているのか?
動いているところを、自分で見たのか?
という点も重要です。
パッケージソフトの場合、往々にして機能は豊富です。
パンフレットには
「あれもできます。これもできます。」
「A社でもB社でも導入しています。」
と記載されています。
でも、あなたの会社が本当に必要としている機能が、
「今」「あなたが想像している通りに」「動いている」(←現在進行形)
とは限らないのです。
上記のA社とB社がそのパッケージソフトを導入しているのは、おそらく嘘で
はないでしょう。
でも、A社とB社がその機能を実際に使っているという保証では無いのです。
また使っていたとしても、「あなたが思っているように動いている」とは限ら
ないのです。
人間とは不思議なもので「動いている」と聞くと、それがあたかも
「自分が思っているとおりに動いている」と思い込んでしまいがちです。
ですから、繰り返しになりますが、十分注意が必要です。
もし仮に必要としている機能がパッケージソフトに無いのであれば、
(a)は問題外として、(b)なら当然、追加開発コスト(費用と時間)が別途発生
することになります。
一般に、パッケージソフトは特注ソフトに較べて安いと言われていますが、
(b)の「パッケージソフト導入コスト+追加開発コスト」の方が(c)のコストよ
りも大きくなることだってよくあるのです。
例えば、もう4〜5年前の話ですが、
ある大手金融機関が外国製の大規模顧客管理パッケージソフトを購入して自社
に合わせて手直しをしたら、予定の時期になってもまったく動かず、半年遅れ
でようやく動いたときには、始めから独自開発したときの何倍ものコストが
かかってしまったとのことです。
パッケージソフトは汎用的につくられているいるため、どうしても機能が豊富
過ぎ、そのため逆に使いにくいというデメリットもあります。
「パッケージソフトのほうが安くて導入期間も短い」という『固定観念』は
捨てて
・必要な機能は何と何で
・その機能を実現するためのコスト(費用と時間)はどちらが安いか
という、至極当たり前の判断基準を持ったほうが、最終的にはうまくいきます。
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□ 余談
□
最近の大手システム会社は、例の「電子政府」がらみのシステム開発で大忙し
との噂。
しかも、自治体ごとに微妙にシステム要件が異なるため、各自治体ごとにわざ
わざ特注開発しているとのこと。
システム会社にとっては『おいしい話』ですし、景気浮揚のための新たな公共
事業と考えることもできますが、税金を払う立場からすれば、こういったもの
こそ各自治体で調整し、できるだけパッケージソフトで済ませて欲しいもので
す。
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